東工大海外旅行研究所
☑この記事で韓国のローカル線の様子が分かります!
韓国の鉄道といえば、高速鉄道で有名なKTXや空港連絡鉄道、首都圏電鉄が挙げられますね。鉄道ファンとしては、それらに乗車するのは、とても楽しいですが、ほかにも韓国国鉄には独特で面白いローカル線がいくつも存在します。今回は韓国の鉄道の中でもかなりのローカル線であるテベク線(太白線)に乗った感想とその車窓をお届けします。
テベク線(太白線)とは?
テベク線は韓国東部を走るローカル線です。下の路線図の東側、「栢山」(下の地図上だと東栢山)駅から「堤川」駅を結ぶ単線未電化のローカル線となっています。
旅鉄アジア様から拝借しました。ありがとうございます。
合計104kmに及ぶ長大路線で、KTX江陵線が開業するまではソウルと韓国東部の都市を結ぶ最短ルートとして活躍しました。
しかし今はKTXが開業し、一日5本ほどの列車が走るローカル線に成り下がってしまいました。
ただ途中にはループ線(正確には太白線に接続する嶺東線)があったり、過去にはスイッチバックがあったりと、みどころ満点の路線なのです。それでは実際の乗車レポをお届けしていきます。
①東海駅から乗車
韓国東部の都市、東海市の中心駅東海駅に停車しているこの列車が、これから乗車する太白線の列車となります。
いわゆる客車列車で、先頭の機関車に客車が連結されているタイプです。なかなか日本では見ることはできませんね。
この列車、実は、
そうとうなオンボロぶりが分かると思います。酷使されてもなお、太白線を走り続けているのです。
東海駅12:01発、堤川駅15:00着という3時間の道のりです。ムグンファ号という列車種別で、全席指定となっています。
ムグンファ号とは韓国の在来線の長距離を担当する列車種別です。
各駅停車のものから快速運転のものなど停車駅には、路線ごとに差があります。
太白線を走る列車は現在ではすべてムグンファ号で、すべての列車が全席指定です。指定しなくても、空いている座席には座ってかまわないというルールになっています。
驚くことにこの列車、終点は堤川駅ではなく、ソウルにほど近い、清涼里駅まで進みます。清涼里までは5時間ほどの道のり。
超ロングラン列車といえます。それではいよいよ出発です。
②東海駅~ループ線
いよいよ出発したわけですが、、まずは東海市のタワマン軍団の中を駆け抜けていきます。
韓国は地方都市にもこのような巨大マンションが存在し、異様な雰囲気を醸しています。日本の日本海側の各都市にタワマンが集まっているイメージですね。
乗車率は、ガラガラで惨憺たるもの。
はじめこそ乗車率は低かったものの、面白かったのが、太白線はおよそ10kmに1駅(日本のだと北海道並みの駅間)置かれているのですが、平日にもかかわらず、それぞれの駅で10~20人ほどの乗車が見こまれたことでした。
やはり、清涼里(ソウル付近)までの直通列車なので、意外と需要がありそうですね。
しかしこの列車は六両編成の客車列車のなので、座席数にはかなり余裕があり、指定席券を持っていない私でも平気で着席できました。
さて順調に列車は韓国東海岸部を進んでいきます。海が見えないのは残念なところ。
途中の道渓という駅に停車しました。
ここで太白線(正確にはこの区間は嶺東線)のみどころ、ループ線に突入します。
ここ、実は昔(2000年代前半くらいまで)はループ線ではなく、スイッチバック+オメガループ2回で乗り切っていた区間です。
ここで一気に峠越えをするということです。
スイッチバック時代の詳細は漫画「鉄子の旅」第42旅に収録されています。横見浩彦さんと編集長がスイッチバック見たさにソウルから半日かけてここまできたという内容です。
しかし今は、ループ線で乗り越えてしまうので以前より味気ないですし、そのループ線のほとんどがトンネルなので、なおさらです。私もループ線らしい壮大な車窓を期待していたのですが、叶いませんでした。トンネルでよくわからなかったですね。
ループ線を越えると………
すぐに東栢山駅に到着です。小田急の小田原駅付近に栢山駅があるのでなんだかなじみ深いですね。
実はここが嶺東線(現在運休中)と太白線が分岐する駅となっていて、そこそこ駅構内も広いのが特徴です。
正式にはここからが太白線になります。
②太白駅
いよいよ山深くなり、およそ30~40km/hという超鈍足で列車は進んでいきます。
すると突如、マンションが見え始め、沿線の中心駅である「太白駅」に到着しました。
ここで列車交換の予定ですが、この列車も五分ほど遅れ、交換する列車も10分ほど遅れているので大幅な遅延となりました。
③太白駅~堤川駅
太白駅を出てしばらくすると、「舎北駅」につき、そこからが峠越えの神髄です。
いよいよ峠越えの山場です。こちらは徐行しながらどんどんと高度を上げていく瞬間です。
もし雲がなかったらかなりいい景色になるのではないでしょうか。豊肥本線の宮地付近の車窓に似ている気がしました。
道中の「味紫院駅」もいい雰囲気を醸し出しています。現在では止まる列車はありません。
峠越えが終わるとあとはのんびりと平野を駆け抜けていきます。
しばらくすると突如、高層ビルが現れました。堤川の街並みです。
今まで山がちな地形ばかりを進んでいたので高層ビルは新鮮です。
列車は吸い込まれるように太白線の終点、堤川駅に到着しました。
まとめ
太白線の旅、いかがだったでしょうか。
あまりきれいな車窓は見込めませんでしたが、ゆっくりと列車旅をするのにはもってこいい路線でした。かくいう私も一時間ほど昼寝をしています。
韓国のローカル線は日本ではあまり脚光を浴びないのですが、ぜひ韓国で東海や堤川っを訪れた際には訪問してみてください。