世界の鉄道<東工大EXPRESS>
☑今回の区間 ピサ→ローマ・テルミニ

フレッチャビアンカ
今回乗車するのは、「フレッチャビアンカ」。イタリア国鉄、トレニタリア社の特急列車の名前です。
イタリアの特急列車といえば、「フレッチャロッサ」なわけですが、今回はその下位互換、「フレッチャビアンカ」に乗車します。
フレッチャロッサは、「赤い矢」をあらわす造語として有名ですが、フレッチャビアンカは「白い矢」を意味するようです。
フレッチャルジェントたる、「銀の矢」を表す特急もあり、「赤」「銀」「白」の順にグレードダウンする設定になっているようです。
今回は白に乗車するので、一番ランクが低い特急なわけですが、いったいどのような様子なのでしょうか。
今回は、ピサの斜塔で有名な、ピサ中央からローマ・テルミニを目指します。

ピサからローマには2種類のアクセスがあります。
①【内陸】ピサ⇒快速⇒フィレンツェ⇒特急⇒ローマ
②【海岸】ピサ⇒特急⇒ローマ
速いのは①の内陸ルートとなっており、フィレンツェからローマまでの高速運転が時間短縮に貢献します。
乗り換えはないものの、②のルートは線形が悪く、特急列車の高速運行は難しく、3時間半程度かかってしまう、という構図になっています。
②の線形が悪いルートを走るのが、「フレッチャビアンカ」というわけです。
ピサ中央駅
旅の始まりはピサ中央駅です。ピサの斜塔まで歩いて20分というアクセスです。

ピサ中央駅は、一大観光地の中心駅、とは決して言えないほどローカル感が漂っています。キオスクが2件ほどであとは待合室しかありません。

切符売り場は4~5人ほど待機しているのが過剰とも思えるほどです。
イタリアの中央駅は、「チェントラーレ」と発音し、イタリアらしい優雅な響きを醸し出しますが、そんなチェントラーレ感は一切ないのが、この、ピサ・チェントラーレ。
遅延が意外と少ない
さて、話は変わり、遅延について。
イタリアの鉄道は遅れることで有名だそうですが、午後5時の便にもかかわらず遅れはたったの3分でした。どうやらかなり改善しているようです。

すんなり現れたフレッチャビアンカの二等車に乗車します。
古臭い車内
さて、そんなビアンカですが、車内はどうしても古臭く感じてしまうというのが第一印象です。

最上位のフレッチャロッサと比べると、壁面も汚いながら、テーブルにも汚れが目立ちます。Wi-Fiも当然使えません。
トイレ事情
トイレを覗いてみます。


うーん、微妙です。
イタリア国鉄もビアンカクラスになると、汚さを隠し切れないようです。
海の見える絶景区間
さて、汚い車内に比べ対照的なのが、美しい海。

海岸線区間では雄大な地中海を堪能できます。
とくにペンションや別荘越しに見る地中海は格別。窓の汚さを忘れてしまうほどの豊かさを演出してくれます。

海に落ちる夕日を眺めつつ、ローマ・テルミニを目指すのです。

イタリアのローマ・ピサ間は意外と山岳区間が多く、日本の地形とそっくりです。そのため、トンネルを抜けると海が見え、海が見えると思ったらトンネルに入る、という典型的な日本の海岸路線と同じ展開を繰り出します。
ヨーロッパは平原が多いため、海が見える区間というものは少ないのですが、ピサ⇔ローマは存分に楽しむことができそうです。
終着・ローマテルミニ
さて、日が沈むとやることがなく、時間を無為に過ごし、ローマテルミニ駅へ。
ローマ・チェントラーレという呼称を用いずに、ローマ・テルミニを貫いている点は、イタリア国鉄の財産だと思いつつ、ホームに降りたちます。

テルミニ駅のテルミニです。

改めて車両を見渡すとかなりのオンボロ具合をうかがい知れます。
本家・フレッチャロッサとかなり遜色がありそうですが、ローカル感漂う海岸線でいつまでも活躍してほしいと願うばかりです。